大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)2801号 判決

被告人 柳浩吉

〔抄 録〕

右弁護人の控訴の趣意第一点について。

所論は、原判決は、被告人が韓三千代から同人名義の外国人登録証明書を借受けた事実につき、行使の目的があつたとして外国人登録法第十八条第一項第十号に違反するとなし、更に被告人が同証明書中韓三千代とあるのを韓三代に改ざんし、また、それに貼つてあつた韓三千代(女)の写真を剥ぎ取つた上その跡に被告人の写真を貼付などした所為を公文書偽造罪に問擬した。しかしながら、被告人が韓三千代から同人名義の外国人登録証明書を借受けたのは、同証明書をそのままで行使しようとしたものではなく、前記の如く改変して別箇の登録証明書を作るための材料とするため借受けたものであり、従つて借受証明書自体については行使の目的を有しなかつたのであるから右借受行為は外国人登録法第十八条第一項第十号に該当しないと主張するのである。

よつて審究するに、外国人登録法第十八条第一項第十号は登録証明書の譲渡または借受けにつき行使の目的を必要とするが、右にいわゆる行使の目的とは、単に当該証明書をそのままの形において行使する場合に限るものではなく、その記載事項殊に登録名義人を変更して使用しようとする場合もまたこれに該当するものと解すべきは、在留外国人の公正な管理を企図する法の目的に照らし疑が存しない。しかし右の場合、登録名義人の変更等のために公文書偽造罪が成立することは、敍上の結論に影響を及ぼさないものといわなければならない。何となれば、既存の登録証明書につきその名義人等重要なる部分を変更し全然新なる意識内容の記載たらしめたために公文書偽造罪が成立するとしても、外国人登録証明書という点では前後同一であり、その限りにおいては、初めの証明書がその効用を持続しており使用されていると解すべきであるからである。従つて所論は採用し難く、論旨は理由がない。

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